「シュッツってどんなひと?」第4回【最終回】

【最終回】BCJ ハインリヒ・シュッツ 公演前 特別企画

「シュッツってどんなひと?」

お話:佐藤望先生(慶應義塾大学教授)

 

第4回【最終回】 シュッツの音楽の楽しみ方

 

バッハ・コレギウム・ジャパンの11月定期公演「主に感謝せよ、その慈しみはとこしえに〜ダビデ詩編(抄)〜」公演前特別インタビュー「シュッツってどんな人?」。最終回となる今回は慶應義塾大学の佐藤望先生に本公演で演奏されるシュッツ音楽の楽しみ方についてお話を伺いました。

 

―― 今回の公演で演奏するシュッツの音楽にはどんな魅力があるでしょうか。

佐藤 《ダビデ詩編集》は前回もお話したとおり、1617年、ドレスデンで行われたルターの宗教改革百年祭に合わせて書かれたもので、非常に大規模な編成を必要とする作品です。8声、12声、16声といった華麗な様式の音楽は、イタリア留学時代の恩師であるジョバンニ・ガブリエリの影響も見られます。

時の宮廷説教師ホーエは「高らかなラッパの響き、轟くティンパニーの音、その他の管弦と、華やかな合唱は、宮廷で、教会で、学校で祝賀の雰囲気を彩った。そして、そこでは数多くの砲弾が放たれた」と語っています。また記録によれば祝典礼拝での演奏参加者は、楽器奏者11人、歌手11人、オルガン奏者3人、リュート奏者4人、テオルボ奏者1人、少年オルガニスト3人、ディスカント歌手3人、彼らが交代でその他に、オルガン2台、レガール2台、チェンバロ3台、トランペット18本、ティンパニー2台であったとされており、当時の演奏がいかに壮麗で、華やかなものであったかが伝わってきます。

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佐藤望先生

 

―― 一方、《シンフォニア・サクラ集》に関してはいかがでしょうか。

佐藤 《シンフォニア・サクラ集》第2巻は、三十年戦争時代にドレスデンを離れデンマークへと赴いたシュッツが、2回目に訪れたころの作品が収められています。。”シンフォニア”という大規模な音楽を思わせる表題が付いていますが、その内容は1,2声のソロ声部とヴァイオリンというシンプルな形式です。しかしそのシンプルな音の織りなす様相は、勇壮で荘厳なシンフォニーにも勝るとも劣らない華やかさと豊かさを持っています。

―― 今回の公演に期待する点はどんなところでしょう。

佐藤 そうですね。当時の演奏習慣ではどの声部に声を配置するか、弦楽器、管楽器をどう配置するか、また、それらをどのように重ねるかは、いくつかの原則に基づけば現場の判断に任されていていました。

現代の演奏において演奏者たちがそれをどのような規模で、どのような選択をするのか。特に《ダビデ詩編集》では声部数が多いだけに、組み合わせの可能性も無限です。バッハ・コレギウム・ジャパンの皆さんがどのようにシュッツの音楽世界を表現するのか非常に楽しみです。合唱はもちろん、楽器が声の声部と折り重なって一緒に歌うということもこの時代の音楽の魅力です。楽器の歌唱性にも注目したいですね。また、シュッツと同じ時代に活躍したザムエル・シャイトの曲も演奏されるということで、こちらも楽しみにしています。

欧州でこそシュッツはメジャーな存在ですが、日本においてシュッツに関する公演はバッハに比べるとまだまだ少ないと思います。今回の公演を機に、シュッツなど古い音楽への興味を持っていただけたら嬉しいですね。

―― 今回は素敵なお話をありがとうございました。

<取材・文/石山 真紀>

第1回はこちらから https://bachcollegiumjapan.org/110-interview-vol1/

第2回はこちらから https://bachcollegiumjapan.org/110-interview-vol2-3

第3回はこちらから https://bachcollegiumjapan.org/110-interview-vol3

 

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公演情報はこちらから↓
https://bachcollegiumjapan.org/

<バッハ・コレギウム・ジャパン 定期公演>
主に感謝せよ、その慈しみはとこしえに ~ダビデ詩編(抄)

スヴェーリンク
詩編36編、詩編116編
ハインリヒ・シュッツ
ダビデ詩編歌集 Op. 2より
第21番「涙をもって種を撒くものは」SWV42(詩編第126編)
第24番「主に感謝せよ、その慈しみはとこしえに」SWV45(詩編第136編)
第26番「主に向かって、喜ばしき声をあげよ」SWV47 他
シンフォニエ・サクレ 第2集 Op.10より
「神よ、立ち上がって、その敵を散らし」SWV356(詩編68編)
「主に向かって新しき歌を歌え」SWV342(詩編96編)
ザムエル・シャイト
ベルギーの歌によるカンツォン・イミタツィオ、カンツォン・ベルガマスカ 他
指揮:鈴木雅明
ソプラノ:松井亜希、藤崎美苗/アルト:青木洋也/テノール:谷口洋介/バス:渡辺祐介
ツィンク&トロンボーン:コンチェルト・パラティーノ
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

<第232回神戸松蔭チャペルコンサート>
2014年11月22日(土)開演3:00PM 開場2:30PM
神戸松蔭女子学院大学 チャペル

料金:
1階指定:8,000円(ペア前売: 15,000円 BCJチケットセンターのみ取扱い) 2階立見席:4,000円(限定30席)

プレイガイド:
◎バッハ・コレギウム・ジャパン チケットセンター 03-5301-0950 1階指定 11/19 15:00まで、立見席 11/20 15:00まで販売
◎イープラス http://eplus.jp/sys/T1U89P0101P006001P0050009P002002843P0030126P0006 11/19(水)18:00まで販売
◎ローソンチケット 0570-084-003 [Lコード58472]
http://l-tike.com/ 11/18(火)23:59まで販売

<第110回東京定期演奏会>
2014年11月24日(月・休)開演3:00PM 開場2:30PM
東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル

料金:
S:8,000円(ペア前売: 15,000円 BCJチケットセンターのみ取扱い) A:6,500円 B:5,000円

プレイガイド:
◎バッハ・コレギウム・ジャパン チケットセンター 03-5301-0950 11/21 15:00まで販売
◎東京オペラシティーチケットセンター 03-5353-9999 11/19 18:00まで販売
◎チケットぴあ 0570-02-9999 [Pコード230-601]
http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1417402 11/19(水) 23:59まで販売
◎イープラス
http://eplus.jp/sys/T1U89P0101P006001P0050009P002002843P0030129P0006 11/19(水)18:00 まで販売
◎ローソンチケット 0570-084-003 [Lコード35916] 11/18(火)23:59まで販売
http://l-tike.com/
◎ヴォ―トル・チケットセンター 03-5355-1280